腹水の治療法

アルブミン補給
本来肝臓で合成されるアルブミンが肝機能の低下によって血中の濃度が低下しているのでアルブミン製剤を内服または点滴で補給します。
しかし、がん性腹水においてはその効果は明らかになっていません。
利尿剤
利尿剤によって水分を排出して腹水を軽減する方法。
癌性腹水に対して利尿剤の有効性は十分に証明されていません。
しかし、他に有効な薬物が存在しないので利尿剤が腹水治療の第一選択の治療となるのが現状のようです。
使用される利尿剤
降圧利尿剤:スピロノラクトン(アルダクトンA)50~150mg
がん性腹水に対しての第一選択肢として使用される場合が多い。
腎機能が低下すると高カリウム血症を生じやすいため使用にあたって十分な注意が必要。
作用
腎臓でナトリウムと水の排泄を促進し、カリウムの排泄を抑えて、尿量を増やし、体内の余分な水分を排泄することにより、血圧を下げたり、体のむくみを取ります。 通常、高血圧症、心性浮腫(うっ血性心不全)、肝性浮腫、腎性浮腫などの治療、また原発性アルドステロン症の診断および症状の改善に用いられます。
副作用
〔重大な副作用〕
電解質異常、急性腎不全
〔その他の副作用〕
BUN値の上昇、女性型乳房、乳房腫脹、性欲減退、陰萎、多毛、月経不順、無月経、閉経後の出血、声の低音化、発疹、蕁麻疹、食欲不振,悪心・嘔吐、口渇、下痢,、便秘、眩暈、頭痛、四肢しびれ感、神経過敏、うつ状態、不安感、精神錯乱、運動失調、傾眠
利尿降圧剤:フロセミド(ラシックス)20~80mg
アルダクトンAで効果が不十分な場合に併用する。
即効性があるが、低ナトリウム血症や低カリウム血症を生じやすいため、電解質異常には十分な注意が必要。
作用
高血圧症(本態性,腎性など)、悪性高血圧,心性浮腫(うっ血性心不全)、腎性浮腫、肝性浮腫、尿路結石排出促進
副作用
〔重大な副作用〕
ショック・アナフィラキシー様症状、再生不良性貧血、汎血球減少症、無顆粒球症、赤芽球癆、水疱性類天疱瘡、難聴、皮膚粘膜眼症候群、心室性不整脈
〔その他の副作用〕
貧血、顆粒球減少、白血球減少、血小板減少、低Na・K血症、低Cl性アルカローシス、高尿酸血症、高血糖症、発疹、蕁麻疹、発赤,光線過敏症、食欲不振、悪心・嘔吐、下痢、口渇、膵炎,、障害、腎障害、眩暈、頭痛、知覚異常、脱力感、倦怠感、起立性低、圧,筋けいれん
穿刺(せんし)
腹腔内へ管を入れ、腹水を直接抜く方法。
即効力があるが大量の腹水穿刺排液は低血圧、腎不全、肝性脳症などを誘発する危険があるので排液量は症例ごとに慎重に決定する必要がある。
腹水にはアルブミンが多く含まれるので更に血中アルブミン濃度が低下して腹水を増悪させる。
抜いた時は楽になるが原因が取り除かれていないので再び増加する。
専門施設にての治療法
静脈シャント
逆流防止弁の付いたチューブ(静脈シャント)を体に取り付けて腹腔から静脈に腹水を戻す方法。
腹水濾過再静注法
患者の腹水をとりだし、それを濾過、濃縮して、静脈から再注入する。
腹水の中のがん細胞や細菌をフィルターによって取り除き、人体に必要な成分(タンパク質)を再び体内に戻します。
経頸静脈肝内門脈大循環短絡術
肝臓内門脈にショートカット循環経路を設けて門脈内を減圧する方法。
この治療を行う医療機関は数少ない。
保険対象外治療で1回50万円ほどかかる。
全て対処療法である
上記の治療法をご覧になってお解かりいただけると思いますが全て対処療法です。
原因を治す治療法は一切行われていないので、原因となっている病状が進むに連れて症状は進行し、最終的には対処しきれなくなります。
また、利尿剤は一時的な対処にはなりますが、副作用を考えるとそれだけに頼って継続的に使うのは危険です。