肝臓の血液検査

肝臓の検査は、問診や触診の次に、血液検査を行います。肝臓にはたくさんの量の血液が出入りしているので、血液の成分を調べることで肝臓の異常を発見することができるのです。
血清ビリルビン
赤血球にあるヘモグロビンから作られる黄色い色をした色素0で、肝臓で代謝されたあとに胆汁の中に出されるものです。肝臓に障害が出るとビリルビンが増加します。
見た目で黄疸の症状がなくても、血液中に3mg/dl以上の数値がある場合、ビリルビンが増えていることになります。このビリルビンの型により、どんな肝臓病なのかが推測することができます。
GOT/GPT
これは、肝細胞が変化していないかどうかを調べるものです。肝臓に障害が出ると、血液中に肝細胞から漏れ出していきます。特徴として、アルコール性肝障害の場合はGOTが高く、慢性肝炎などではGPTが高くなります。
γ-GTP
肝細胞に異常をきたしたり、胆汁の排泄がスムーズにいっていないときに数値が上がります。アルコール性肝障害の診断には欠かせない項目です。
ALP
ほとんどの臓器に含まれているALPですが、肝臓の場合は胆汁の中に出される物質です。胆汁の排泄がうまくいかなくなると、ALPが血液中に増加します。
慢性肝炎などではALPの増加が見られません。肝臓の病気を見分ける上で重要なものの一つです。肝臓以外の骨の病気などでも数値が上がりますので見分けが必要です。
LDH
LDHは、ほとんどの臓器にあり、いくつかの種類に分かれていて、どのLDHが増加しているかで、どの臓器が悪いのかが分かります。がんの場合にもこのLDHが増加するために、肝臓がんの診断に使われる場合があります。
コリンエステラーゼ
コリンエステラーゼは、肝臓に異常が起きると数値が低下します。肥満が原因の脂肪肝では逆に数値が上がります。
血清総たんぱく
血液の中に含まれるたんぱくの総称です。その中の、血清アルブミンの数値が低いと、肝硬変、肝臓がんが疑われます。血清アルブミンが少なくなると、腹水がたまる原因にもなります。免疫グロブリンが増加したときは、慢性肝炎や肝硬変が疑われます。A/G比が低下しているときは、肝機能障害が進んでいることを示します。
膠質反応
血清に薬を加え、その反応を見る検査です。肝臓にトラブルを抱えていると、混濁したり沈殿したりします。肝炎や肝硬変の場合に出る反応ですが、肝臓の病気の影響を受けやすいのが難点です。
血清コレステロール
コレステロールは肝臓で合成されてから胆汁に排出されます。胆汁がうっ帯することでコレステロールが血中にたまり、血清コレステロール値が上がります。
急性肝炎や劇症肝炎では反対に低くなります。黄疸が出たときにこの血中コレステロール値を検査することにより、肝炎によるものか胆汁によるものなのかが分かります。
プロトロンビン時間
肝細胞で作られるプロトロンビンは、血液を固まらせるたんぱく質です。肝細胞に異常をきたすと、プロトロンビンが減少して血液が固まりにくくなります。
肝臓が悪くなると、血液が固まるまでの時間が長くなるのです。このプロトロンビンがかかわって血液が固まるのにかかる時間をプロトロンビン時間と言います。劇症肝炎や肝硬変などの診断に役立ちます。
色素排泄試験
静脈に色素を注射して、どれくらい血中にその色素が残っているのか、一定時間をおいて調べる検査です。肝細胞の働きが十分でなかったり、胆汁の流れがスムーズでなければ、血液の中に一定量以上の色素が残っています。
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