胃手術後の障害:腸閉塞

腸閉塞とは、なんらかの原因で腸の一部の内腔が狭くなり、腸の内容物が詰まってしまう病気のことです。大別して2つのタイプがあり、腸の蠕動(食物を消化するための動き)が疎外されて生じる機能的イレウス、通り道が物理的にふさがれるものを機械的イレウスといいます。
機能的イレウスは、腸が麻痺したり痙攣したりして、正しく働かなるために起こります。
一方、機械的イレウスの原因として最も多いのは腸の癒着で、腸壁がほかの腸や腹膜とくっついてしまい、そのために腸が湾曲したり引っ張られたりして通過障害が起こります。
この癒着を生じる最大の原因は手術です。腸閉塞全体のなかで、以前受けた手術が原因となり起こるものが6~7割を占めています。体質的に癒着を起こしやすい人がいて、腸閉塞の患者さんにはそのような人が多いのです。
腸閉塞の症状
腹痛、嘔吐、吐き気、腹部が張って腸がゴロゴロ鳴るなどの症状が起こります。また、腸が詰まるのでガスや便が出なくなります。ただし、閉塞部位や程度により症状とその強さは異なります。
腸の血行障害を伴う場合は激痛が起こり、緊急の手術が必要です。
一方、胆管にできた結石が詰まってしまうと胆汁が十二指腸に流れなくなり、逆流した胆汁が血液中に溢れ、体中が黄色になってしまう黄疸が現れます。
また、実際には症状のない無症候性胆石も多く、症状がないからといって安心はできません。
腸閉塞の治療
絞扼性腸閉塞でなければ、保存的治療で治療が可能です。
食事や飲水を中止し、胃腸を休め、十分な補液を行います。腸の張りが強い場合は、鼻から胃や腸まで管を入れ、嘔吐のもととなる胃や腸の内容物を体の外に汲み上げます。腸の張りが少なくなれば、腸から吸収され快方に向かいます。
ガスや便が出れば、腸の通過障害は一応治ったことになりますが、腸が詰まった原因、つまり癒着や腸がはまり込んだおなかのくぼみは治らないため、再発の危険は残ります。
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