肝臓の数値:γ-GTP

γ-GTPは、肝臓、腎臓、すい臓、脾臓、小腸などに含まれている解毒作用に関係している酵素で、アルコールに反応します。
このγ-GTPは肝臓や胆管の細胞が死んだときに血液中に流れ出すため、肝臓や胆管の細胞がどれくらい壊れたかを示す一つの指標になります。
特にアルコール性肝障害や、胆石で胆道が塞がれたときに数値は上がりやすいと言われています。
血液中にγ-GTPが流れ出ること自体は、体に悪いことではなく、γ-GTPがなぜ増えているのかということが注目すべきポイントです。
γ-GTP値が高いと、肝臓の細胞などが壊されているのではないかという恐れがあります。
診断でわかる肝機能数値の正常値は以下の通りとなっています。
γ-GTP(正常値)男性…50IU/L単位以下
γ-GTP(正常値)女性…32IU/L単位以下
正常値を下回っている分には問題ありませんが、数値が上回っている場合には、肝臓に負担がかかっていると考えられます。γ-GTPの数値が高くても100以下であれば、禁酒などお酒・アルコールを控えることで正常値に戻ると考えられます。
しかし、100以上であれば、脂肪肝が進行していると考えられるため、病院で診ていただくことをおすすめします。
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乳がんと間違えやすい症状:線維腺腫

線維腺腫は20~40歳代に多く見られ、特に30歳代に多いことが特徴的です。症状はしこりだけで、痛みを伴わないことがほとんどです。
しこりは球状または卵形でゴムのような弾力を持ちます。
片方の乳房に1つできることが多いのですが、数個できたり両方の乳房にできることもあります。
大きさは2~3cmぐらいで、5cmの大きさになるのは全体の3%ぐらいです。
若い方で乳房の形が変わるぐらい大きくなることもありますが、その場合は若年性線維腺腫と呼ばれています。
線維腺腫は女性ホルモンの影響で形成されると考えられており、ホルモンの分泌状態が変わると自然に消えてしまいます。そのため70~80歳になると線維腺腫のある方はまったくいなくなります。
診断は比較的簡単に済みますが、硬くてまわりが歪んでいるものは乳がんと間違えることもあります。若い方の診察の場合は、マンモグラフィでは乳腺が濃く写るため、しこりとして見つけにくい場合が多々あります。
超音波検査では乳腺は白く写り、しこりは黒く写りますので若い方でも分かります。両方の診察を受けて精度を上げる診察が、一番望ましいと思います。
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食道がんで使用する抗がん剤

食道がんを治療する化学療法のひとつに、抗がん剤治療があります。 食道がんに最も効果があるといわれている抗がん剤は、5-フルオロウラシルとシスプラチンの2種類で、通常この2つの薬を併用して、4、5日かけて点滴で投与します。
投与後の経過をみて、効果がみられるようであれば、3、4週間あけて再度投与をし、これを数回繰り返します。 抗がん剤だけで食道がんが完治することはなく、手術や放射線治療などとあわせて治療を進めていくことになります。 食道がんの場合、抗がん剤の副作用は、ほかのがんに比べて軽いといわれています。
嘔吐、下痢、発熱、倦怠感、貧血などのさまざまな症状があらわれ、白血球や赤血球の減少によって、感染症や発熱なども起こしやすくなります。また、シスプラチン特有の副作用として、腎機能の低下が起こります。 現在、抗がん剤の副作用を防ぐための薬の開発が進んでいるので、副作用は少しずつでも軽くなっていくものと思われます。
食道がんで使用する主な抗がん剤   
 名称          考えられる副作用
シスプラチン     嘔吐、血液障害、骨髄抑制、肝機能障害
ドセタキセル     髄抑制、倦怠感、食欲不振
ブレオマイシン    嘔吐、倦怠感、肺線維症
ネダプラチン     嘔吐、血液障害、腎機能障害
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ピロリ菌除菌治療に使う薬

ピロリ菌の除菌治療は「プロトンポンプ阻害剤(PPIと略します)+抗生剤(抗生物質)」という組み合わせで行われます。
PPIは潰瘍の薬で、胃酸の分泌を強力に抑える働きがあります。
抗生剤はいわゆる抗生物質のことで、ピロリ菌をやっつける薬です。PPIを一緒に使うことで胃の酸のために抗生剤が働かなくなってしまうのを防ぎます。
抗生剤2種類を、PPIとあわせて使うことから「3剤併用療法」と呼ばれます。
現在保険で認められているのは、PPIにランソプラゾール、抗生剤にアモキシシリンとクラリスロマイシンという組み合わせで1週間、全部で50錠ほどを飲むことになります。
平成14年12月より「ピロリ菌除菌治療」に飲む3種類の薬が1日分ごとにパックされました。
平成19年8月より、1回目の除菌治療が不成功だった患者さんには、クラリスロマイシンをメトロニダゾールに替えた「3剤併用療法」による、除菌治療も保険で認められました。
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抗がん剤が効くがんと効かないがん

抗がん剤はすべてのがんに有効というわけではありません。抗がん剤のがん細胞を死滅させる効果を薬剤感受性と言いますが,この薬剤感受性はがんの種類によって大きく異なり,もっとも効果のあるものから,ほとんど効果が期待できないものまで,4段階に分けることができます。
がんの組織型,病期によっても異なることがありますし,放射線治療など他の治療法と併用することで,効果が上がる場合もあります。
抗がん剤がよく効くがん
慢性・急性骨髄性白血病
悪性リンパ腫
精巣腫瘍
子宮絨毛腫瘍
小児がん
抗がん剤が比較的よく効くがん
小細胞肺がん
乳がん
卵巣がん
膀胱がん
骨肉腫 など
抗がん剤があまり効かないがん
胃がん
大腸がん
非小細胞肺がん
子宮がん
食道がん 
前立腺がん など
抗がん剤がほとんど効かないがん
肝臓がん
膵臓がん
腎臓がん
胆嚢がん
甲状腺がん など
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ピロリ菌除菌治療の失敗

ピロリ菌の除菌治療が成功したかどうかを確認することは重要です。
一度確認しても、2回までは保険で検査ができますので、再度確認してみることをおススメします。
1回目のピロリ菌除菌で成功しなかった場合には、二次除菌を行います。
ピロリ菌除菌治療が成功しない原因のほとんどは、使用した抗菌薬(クラリスロマイシン)に対する耐性菌です。この耐性菌を持つ人が増えているため、ピロリ菌の除菌の成功率は低下しつつあります。
このため、二次除菌では、別の抗菌薬(メトロニダゾール)を使います。ピロリ菌除菌治療の一次除菌と二次除菌をあわせると全体の95%は成功するとされています。
胃のあたりが痛いからと言って、必ずしも胃の病気とは限りません。
胆のう炎や胆石(タンセキ)、膵炎(スイエン)、膵臓ガンなど、胃以外の病気が胃の痛みとして感じられることもあるので、一度きちんと医師の診察を受けましょう。
 ピロリ菌の除菌治療は、あらゆる胃の病気の胃リスクを軽減させることは明らかですが、必ずしもすべてが解決するわけではありません。リスクのひとつが取り除かれたということだけなので、普段の食事などに気をつかい、胃に負担のかからない生活をすることも大切です。
食事に関しては、規則正しく1日3食きちんと食べること、脂っこいものや香辛料の強いものを食べすぎないことです。
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がんの種類別の抗がん剤

抗がん剤は種類によって投与期間や作用が異なります。副作用は薬によってさまざまで、反応は個人差が大きく、効果は患者さんによってだいぶ差があります。
がんの種類、進行度、体調などに合わせて、できるだけ副作用が軽く効果的な抗がん剤治療を行うよう管理します。
脳腫瘍
分子量が小さく血液脳関門への透過性があるアルキル化剤のニムスチン、ラニムスチン、テモゾロミドなどが用いられる。
頭頸部がん
代表的なものにシスプラチンとフルオロウラシルの併用療法がある。この2剤に加えドセタキセルが用いる場合もある。
肺がん
シスプラチンまたはカルボプラチンに別の抗がん剤を加えた2剤併用療法が標準的な治療法である。EGFR遺伝子変異をもつ非小細胞肺がんに対して、イレッサは特に治療効果の高いことが分かっている。
乳がん
CMF療法(シクロホスファミド、メトレキサート、フルオロウラシルの組み合せ)、CAF療法(シクロホスファミド、ドキソルビシン、フルオロウラシルの組み合せ)、AC療法(アドリアマイシン、シクロフォスファミドの組み合せ)などが行われる。
食道がん
放射線療法と同時にPF療法(シスプラチンとフルオロウラシルの組合せ)を中心に、他の抗がん剤を組み合わせた多剤併用が一般的である。
胃がん
フルオロウラシルが中心に用いられる。胃がんは比較的、抗がん剤の効きが良くないといわれるが、テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム(TS-1)、アドリアマイシン、シスプラチン、イリノテカン、パクリタキセル、ドセタキセルなどの登場で抗がん剤治療が飛躍的に進歩した。
大腸がん
フルオロウラシル、イリノテカン、オキサリプラチン、テガフール・ウラシルなどの抗がん剤を組み合わせた投与が行われる。なお、ホリナートはこれらの抗がん剤の補助として併用される。これら抗がん剤と併用することによって、奏功が期待される分子標的治療薬にアバスチンがある。
胆嚢がん
標準治療が確立されていないが、ゲムシタビンが標準として使われている。
膵臓がん
ゲムシタビン、S-1が第一選択薬として推奨されるようになり、従来に比べて予後が良好であることが分かっている。ゲムシタビンにS-1を併用して良好な奏功率が示されている。
腎臓がん
インターフェロンなどの治療が行われていたが、近年、分子標的薬のソラフェニブとスニチニブが腎臓がんを適応として承認され、腎臓がん治療に新しい門戸を開いた。
膀胱がん
メトトレキサート、ビンブラスチン、ドキソルビシン、シスプラチンを組合せたM-VAC療法、ゲムシタビシンとシスプラチンを組み合わせたGC療法が標準的な化学療法として行われる。
前立腺がん
前立腺がんではホルモン療法が主に行われている。2008年にドセタキセルの適応が承認され、化学療法に新たな道が開かれた。
子宮がん
子宮体がんには、シスプラチン、アドリアマイシン、パクリタキセルの組合せが主に行われている。
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