肺がんの骨転移

肺がんの骨転移が起きている状態になると、余命がそれほど長くないことも出てきます。必ずしも末期とは限りませんが、少なくてもステージ4期にまでは進んでいるのですから、5年生存率は10%程度になります。したがって、場合によっては余命についても真剣に考えなくてはならなくなります。
骨転移の症状としては、痛みを感じることがあります。たとえば、背中や手足、腰に痛みを感じるようになりますので、整形外科に行って調べてもらったら、実は肺がんであることが判明するということもあります。
ほかにも、転移の症状として骨が脆くなり、病的骨折を起こすことがあります。これらの症状は生活の質を著しく落とすものです。寝たきりになるのを防ぐためにも、適切な治療によって進行を食い止める必要があります。
治療としては、放射線療法や薬によるコントロールが行われます。肺がんの骨転移の部分に放射線を照射することによって、強度を回復することや、痛みの緩和に役立ちます。また、薬としては鎮痛剤で痛みを抑えるほか、ビスホスホネート製剤を用いて破骨細胞の働きを抑え、悪化を阻止することができます。
しかし、これらの対策によって完治するわけではありません。血液に乗って体中に癌細胞がばら撒かれてしまっている可能性もありますし、そうではないとしても、原発腫瘍についても治療しなくてはならないのです。
残念ながら、骨転移がある状態の肺がんで完治を目指すのは、厳しい道のりになります。多くの場合、そこまで効果的な治療法はないのです。放射線療法やビスホスホネート製剤によって進行を遅らせることはできても、根本的な解決にはなりません。
抗がん剤なら全身に効果を及ぼすことができますが、それによって癌細胞が完全に死滅することは望めません。化学療法も根治に対して有効な手立てにはなっていないのです。