スキルス胃がんとは

スキルス胃がん(スキルス性胃がん)とは、ボールマン分類の 4型の一部のことで、他の胃がんと同じように粘膜から発生しますが、粘膜面の変化をほとんどおこさずに、胃壁の中を広く浸潤(しんじゅん)していきます。特別な進み方をする悪性度の高いガンで、再発率が高いです。
スキルス胃がんの割合
スキルス胃がんのがん全体の割合はそれほど多くはありません。約 1割(12%ぐらい)です。30代、40代の女性に最も多くみられます。
スキルス胃がんの症状
スキルス胃がんは、胃の粘膜層の下に木の根のように広がっていきます。そして最終的には、胃が正常の半分ぐらいにまで収縮してしまいます。
胃が正常な大きさのうちにスキルス性胃がんを見つけるのはとても難しいです。検査では異常がないという診断であったのに、数ヶ月後には腹水(ふくすい)がたまりはじめて、すでに手遅れの状態になってしまうという場合もあります。
この原因は、スキルス性胃がんの発育が速いということではなく、スキルス胃がんが発生してから胃の収縮が始まるまでの時間が短いからです。
スキルス胃がんの診断
通常の胃がん検査である内視鏡検査ではスキルス胃がんの初期症状をみつけることは困難です。その理由は、スキルス胃がんは胃の内側の表面の粘膜部分から起こりますが、その表面に異常が出にくいガンだからです。
スキルス胃がんは発見された時点で、約60%の人が腹膜転移や広い範囲のリンパ節転移が見られます。
スキルス胃がんの転移
スキルス胃がんの転移は、腹膜播腫への転移がよく見られます。「腹膜播種(ふくまくはしゅ)」とは、お腹の中全体にがん細胞が散らばる状態のことです。
スキルス胃がんの患者さんの約50%の人が腹膜播腫が見られるとされています。
スキルス胃がんの手術と治
スキルス胃がんは転移や浸潤(しんじゅん)を起こしやすいです。腹膜播腫(ふくまくはしゅ)や他臓器への転移がなければ手術できますが、発見時にはすでに手術ができないことが多いです。
手術した場合でも 5年生存率は約15%~20%です。