卵巣の「できもの」

卵巣に発生する腫瘤(できもの)とは
卵巣には非常に沢山の種類の腫瘍が形成されますが、の発生由来からまず以下の3つに分けられます。
1.表層上皮性・間質性腫瘍
2.性索間質性腫瘍
3.胚細胞腫瘍

上記3つの腫瘍はそれぞれがさらに「良性」、「境界悪性」、「悪性」が存在します。
卵巣腫瘍の種類はとても多く、30種類を超えます。卵巣腫瘍の種類が多いと言っても、非常に一般的な腫瘍から、珍しい腫瘍まであり、その発生頻度は様々です。
1の上皮性腫瘍がもっとも頻度が高く、全卵巣腫瘍の60%位を占めます。卵巣癌に限定すると70~80%はこの上皮性悪性腫瘍となります。2の性索間質性腫瘍はぐっと頻度がへり5~10%位で、奇形種が含まれる3の胚細胞性腫瘍は少し頻度が高くて15~20%くらいです。
卵巣は胃癌などが高率に転移してくる場所なので転移性の卵巣癌なども卵巣腫瘍に含まれます。その頻度は全卵巣腫瘍の5%を占めるとも言われています。その他、本当の意味では腫瘍に含まれない(チョコレート嚢胞や黄体嚢胞、卵巣出血)などの「類腫瘍」も発生します。
卵巣は腹腔内に存在するため、卵巣腫瘍の適切なスクリーニング検査が存在しないのが現状です。また性器出血や痛みなどの症状を呈さないものがほとんどなので、自覚症状が出にくく、産婦人科受診も遅れ、診断や治療が遅れる傾向にあります。
卵巣癌が進行すると高率に腹水を伴うので腹部膨満、腹水の貯留から内科を受診し、内科から婦人科を診断されて始めて診断されることも日常診療ではよく遭遇します。女性の腹水の原因として卵巣の腫瘍(とくに卵巣癌)は重要です。
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