肝がん(肝細胞がん)に気づいたら

肝がんの症状は、基礎にある慢性肝炎や肝硬変の症状と非常に似ているため、肝がんであるという特有な症状、サインはほとんどありません。すなわち、腹水、むくみ、黄疸などの症状があっても、これが肝がんの症状であるかどうかの区別は困難です。
 急速に悪化する腹部膨満感(ぼうまんかん)(張り感)では、急激に増大しつつある肝細胞がんの可能性があります。また、強い腹痛は肝がんの腹腔内破裂(ふくくうないはれつ)(出血)の可能性があり、緊急にその状態を調べる必要があります。
 ALT(GPT)値の異常などの肝障害があったり、B型肝炎・C型肝炎ウイルスが陽性であれば、医師に対して腹部超音波検査を受けることを希望し、早い時期に肝臓内部のチェックをしてください。
 そして、基礎に肝臓病があって、腹部超音波やCTで肝臓内部に腫瘤(しゅりゅう)(しこり、影)がみられたら、ただちに肝臓の専門医の診察を受けてください。良性腫瘍のこともありますが、自覚症状の出てこない早期に肝細胞がんを診断することが、十分な治療を行うためにはどうしても必要です。
 受診する科目は、消化器科または内科です。病気の性格からは、肝がんと診断される前の段階(慢性肝炎・肝硬変)から、定期的に肝臓病の専門医に受診していることが大切です。こうすれば早期発見・早期治療の可能性が高くなります。
 生活面での注意は、背景の肝臓病の程度により禁酒、安静、食事制限などが要求される場合がありますが、一般にはこれ以上に特別なものはありません。