肝臓がん治療(生体肝移植)

肝移植には生体肝移値と脳死肝移植があります。
 生体肝移植では健康な人の肝臓を部分的に切除し、肝移植が必要な患者さん(レシビエントといいます)に移植されます。
 生体肝移植の場合、家族に肝臓の提供者(ドナーといいます)がいないと成り立ちません。自発的な意思でドナーになるという人で、血液型と肝臓のサイズが合うことが最低条件となります。
 生体肝移植ではドナー側に残した肝臓も十分に働くように血管を処理する高度な技術を要します。しかしほぼ同時に手術が行われるため、肝臓が体から取り出されている時間が短くなり、肝臓自体のダメージが少ないために、手術の成功率が脳死肝移植に比べ若干良くなります。
 他人からの肝臓よりも身内の肝臓の方が拒絶しないのではないかと思われがちですが、それはあまり関係ありません。脳死肝移植よりも生体肝移植の成績が若干良いのは、同時に手術を行うため、肝臓を取りだしている時間が短 「ことが大きな要因となります。
 成人の生体肝移植で問題となるのは、1つには肝臓の大きさです。大人の場合、子供と違い体が大きいために、必要となる肝臓のサイズも大きくなります。ドナーから必要な分の肝臓をもらうとドナー自身の必要な肝臓の大きさが確保できなくなる危険性があります。
 そうなると肝臓をもらうわけにはいきません。一般的にはサイズの小さい左葉を移植されることになりますが、左葉ではレシピエントにとって小さい場合、右葉を移植することもあります。しかし、成人の場合はほとんどが移植される肝臓が、患者さんの必要な肝臓の大きさの半分以下となります。肝臓が大きくなるまで時間がかかるため、脳死移植や子供の生体肝移植に比べ、回復に時間がかかります。
 生体肝移植では健康な人を傷つけることになるため、脳死肝移植よりも適切な方法とは言えません。やはり、一番いいのは脳死の方からの臓器提供です。また、移植したからといって、その肝臓がダメになった場合、再移植ということもあり得ます。
 その場合、生体肝移植では限界があり、脳死肝移植に頼らざるをえなくなるため、生体肝移植を受けられる方も、脳死の臓器提供への理解を深め、ご自身でも臓器提供意思表示カードが普及するよう、努めていただきたいと思います。