薬物療法の傾向

薬物療法には、術前化学療法と術後化学療法があります。
術前化学療法のメリットは、乳房内のがんを縮小して、切除範囲を小さくできることです。
そのため、乳房温存手術を行える例も多くなります。
まれに、抗がん剤だけでがんが完全になくなってしまうこともあります。
目に見えるがんを先に取ってその後に行う術後化学療法とは異なり、がんが縮小したかどうか確実にわかります。
目に見えない微小転移に対する抗がん剤の効果も予測できます。
さらに理論的には、早く薬物療法を始めることで、再発や転移を抑える効果も期待されています。
術前化学療法が行われるのは主に、進行したがんを手術可能な大きさにするためや、直径3cm以上のがんを縮小して乳房温存手術を可能にするためです。
ただし、術前化学療法に反応せず、がん大きくなる患者さんも、全体の3~5%程度います。
術前化学療法中は、定期的にがんの状態を調べて、手術のタイミングを逸しないことが大切です。
術前ホルモン療法や、手術行わずに薬物療法と放射線療法で治療するなど、薬物療法の新たな研究も行われています。